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「豊かな老人よ 自立せよ」を読んで

  • Posted by: admin
  • 2008年10月 5日 14:10
  • 雑感

事務所の移転もようやく一段落ついたので、久しぶりに近所の図書館に行って、雑誌を借りてきました。9時過ぎに行ったためか、中央公論、世界、正論、新潮45の8月号、9月号が借りられました。しかしどういうわけか文芸春秋は新しいものがほとんど貸し出し中で借りられませんでした。それほど人気のある雑誌とも思えないのですが・・・。


いろいろ借りてきた雑誌の中で興味をもったのは、中央公論8月号の「高齢者は本当に弱者なのか」というテーマで、大和総研チーフエコノミストの原田泰という方が書いた「豊かな老人よ 自立せよ」という論文です。


副題に「高齢者の貧富は多様である。年齢だけを基準に扶養するのはやめるべきである。」とあり、これが結局、著者の主張かと思われます。


そもそも、後期高齢者医療制度は、何が(どの年齢層が)原因で医療費が増大しているのか、一目瞭然になり、そうなれば少しは削れるのではないかという期待から、導入されたとの事です。75歳以上の高齢者の一人当たりの医療費が、65歳未満の現役世代の一人当たりの医療費の5倍以上になっていて、年齢ごとの医療費がこんなに異なっている国は日本しかないとも主張されています。


年齢を重ねれば、医療費は増大しそうですが、現役世代の5倍以上と金額が、他国のそれと比較して差がありすぎるならば、高齢者の医療費の抑制を図るべきだろうと思います。但し、中央公論の論文には具体的なデータの記述がないのは残念です。


また厚生年金制度についても比較しています。「アメリカに比べて、購買力平価でみた月額では二割以上、受給期間でも三割以上長く、日本の年金は、実質的にアメリカの1.6倍ということになる。世界でもっとも豊かなアメリカの年金は日本の6割、世界でもっとも福祉の充実したスウェーデンの年金は日本の5割にすぎない。少子化社会に向かう日本で、これほど高い年金をはらっていけるはずがない」との事です。


購買力平価とは、おそらく著者とは立場が異なる「しんぶん赤旗」の解説によると、「外国為替市場の為替レートは、貿易などの国際的取引の影響や、投機による変動が多い。購買力平価は、そういう影響・変動を除き、より経済実態に即した各国比較ができる」ため、「国民の生活水準切り下げを狙う政府や財界が、好んで為替レートでの国際比較を使い、購買力平価を使わない」そうです。著者は、物価水準が違うと反論されるのを考慮して、購買力平価で比較したとの事です。まあよく分かりませんが、どうやら日本の厚生年金は高額のようです。

(国民年金は満額でも少ないですが、当然その分現役時代の負担も厚生年金に比べれば少ない訳ですが、それでも未納率も高いのは・・・)


また、そもそも高齢者は貧しいのかという点にも疑問を呈しています。

厚生労働省のデータを分析していますが、結論は、「日本の高齢者は、平均で見るかぎり、所得においても、消費においても、金融資産においても、住宅・土地資産においても、若い世代より豊かなのである。(中略)。少なくとも、若い世代の犠牲において、豊かな高齢者に潤沢な年金を支払うことや、その医療費を優遇することは再考するべきではなかろうか」「高齢者は多様である。豊かな高齢者も多いが、貧しい高齢者も多い。年齢を基準に、働く世代の負担によって、高齢者を助けることはやめるべきである。人々を税金によって助けるとすれば、それは直面している困難さと所得と資産のみを基準にするべきである」と主張しています。


個人としては、この著者の意見に概ね賛成です。毎年確定申告の時期になると公民館等で、税理士会の無料の確定申告相談会があり、参加していますが、結構な額の年金をもらっている方や不動産所得のある高齢者の方がたくさん参加しています。


ただその中には、医療費控除の上限額200万円を超える医療費の大量の領収書をもって参加される高齢者の方もいます。


また、何箇所かの給与所得の源泉徴収票を持参されて、いくらかの還付申告を行う人もしばしば見受けられます。そういった方は、結局基礎控除以外は何もない場合が多いようです。


結局、年齢に関係なく、苦しい人は苦しいわけです。継続的で安定的な収入が国家によって保証されていればともかく、給与所得者も事業所得者も、いつ苦しい状況に陥るかはわかりません。大地震でもあれば、不動産所得者も大変な事態になってしまいます。最低限のセーフティーネットの充実が必要だと思います。


個人的には、選挙対策で、1年限りの定額減税を実施するくらいなら、基礎控除や扶養控除の金額を大幅に引き上げるべきかと思います。それで財源が減ったなら、代わりに、公的年金等控除や給与所得控除を廃止ないし縮小すべきではないかと思います。(税理士業的にはマイナスな気がしますが・・・)

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